Debian の起動は、初期 RAM ファイルシステム (initramfs または 初期 RAM ディスク の意で、initrd と呼ばれることもあります。)を含めて 2 段階のプロセスを踏みます。まず、ブートローダがカーネルと initramfs をメモリに読み込み、実行制御をカーネルに渡します。基本的な初期化が終了すると、カーネルが initramfs アーカイブを展開し、一時的なルートファイルシステムとしてマウントします。initramfs にはカーネルモジュールと、物理デバイスまたは論理デバイスの初期化を必要とするユーザ空間プログラムが含まれています。本物のルートファイルシステムもここに含まれます。initramfs の init スクリプトがモジュールをロードし、その他の初期化処理を行います。このステージの最後に、run-init が initramfs をメモリから消去し、本物のルートファイルシステムをロードします。そして本物のルートファイルシステム上の/sbin/init プログラムに制御を渡します。
この仕組みを採用することによって、 2 つの大きな目的を達成しています。まず、ドライバをモジュールとしてコンパイルすることでカーネルのサイズを抑えること。 (initramfs がない場合、ルートデバイスを起動し初期化するために必要なドライバは、 あらかじめカーネルに組込まれていなければなりません。) そして、カーネルで行うことができないユーザ空間のユーティリティで実行される初期化が必要な設定の実行を可能にすることです。
通常、initramfs は特定のハードウェア/デバイス構成とカーネルのバージョン毎にカスタマイズする必要があるので、パッケージの一部としては提供されず、カーネルのインストール時にその場で生成されます。今のところ、 Debian で initramfs を生成できるツールは 2 つあります。initramfs-tools によって提供される update-initramfs (デフォルト) と dracut パッケージによって提供される dracut-update-initramfs (実験的) です。
適切な linux-image をインストールした後に、その変更をしたい場合は initramfs を再生成しなければなりません。これは次のコマンドにより実現可能です:
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dpkg-reconfigure linux-image-3.2.0-2-686-pae
linux-image-3.2.0-2-686-pae は initramfs の生成を必要としているカーネルパッケージの名前です。